ホーム > 広報誌・年報 > みんなで考えるJNES公開講座 > 高経年化事象とその対策について > 高経年化と老朽化 > 原子力発電所の寿命って、どれくらいなの?

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私がお答えします!寿命は「ない」とも、「ある」ともいえるのです。
法隆寺の五重塔は優れた設計と適切な保守により、世代を超えて日本文化の象徴となってきました。そうした例は身近にも見つけることができます。例えば、クルマも点検を怠れば、いずれ故障は避けられません。でも、定期的に点検し劣化した部品を交換することで、長い間快適に乗り続けることができます。同じように、行き届いた設計の原子力発電所でも維持管理しなければ、設備や機器は当初の機能や性能が落ち、やがて役に立たなくなります。
そこで、定期的な検査などにより機能や性能を確認し、必要に応じて最新技術を導入した設備や機器に取り替えています。このように、当初の機能や性能を維持しながら、原子力発電所が使用年数を重ねていくことを、「老朽化」と区別して「高経年化」と言い、そのための対策を「高経年化対策」と呼んでいます。こうした高経年化対策により、理論上、原子力発電所自体は限りなく寿命を伸ばすことができます。しかし、維持管理のコストがかかりすぎれば、廃棄して新たな施設をつくるほうが得策です。そのとき、原子力発電所は寿命を迎えることになるわけです。

そもそも、原子力発電所の「寿命」とは
「寿命」とは、命が存続する長さのことです。その意味からすれば、原子力発電所の「寿命」とは、原子力発電所が安全に運転を続けることのできる期間といえます。原子力発電所の「寿命」に関して、日本では法律に定められていません。ですから、適切な保全活動を行うことによって、原子力発電所の健全性を確保できる限り、原子力発電所の「寿命」は続くことになります。
では、「寿命」がないのかといえば、そうではありません。保全活動に関するさまざ まな技術で対応しても、設計当初の機能や性能を維持できなくなったときはもちろんのことですが、運転や修理にかかる費用が採算ベースを超えて膨らむというように、技術面や経済面など総合的 な観点から事業者(電力会社)が運転を停止したほうがよいと判断したときに、原子力発電所は「寿命」を迎えます。ですから、原子力発電所ごとに「寿命」は異なります。
老朽化と高経年化は、どう違う
世の中にあるすべてのものは、維持管理しなければ時間の経過とともに当初持っていた機能や性能が劣化し、やがては古くなり役に立たなくなって寿命を迎えます。この過程を、一般には「老朽化」と言います。 原子力発電所も定期的に維持管理をしなければ、設備や機器は次第に「老朽化」してしまいます。しかし、必要に応じて最新の技術が導入された設備や機器に取り替えることなどによって、原子力発電所全体として必要な機能や性能を維持していくことができます。この事から原子力発電所における時間の経過に「高経年化」という言葉を使い機能や性能の劣化という意味合いを含んだ「老朽化」とは区別します。
高経年化対策の目安
「高経年化対策」の対象となるのは、運転開始から30年を経過する原子力発電所です。この30年という目安はどのようなものなのでしょうか。原子力発電所を設計する際には、設備や機器は劣化するという前提に立ち、さまざま条件の運転によって設備や機器の状態がどう変化するのかを予想し、一定の余裕をもってなされます。30年という数字は原子力発電所の寿命を意味する年数ではありません。ただし、実際に運転開始から30年程度を経過した原子力発電所では、一部の施設や機器などにおいて劣化による性能低下が進む可能性のあることが今までの経験からわかっています。この事を考慮して30年を「高経年化対策」を実施するひとつの目安としているものです。
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